TV Period Drama ~stories of wandering gamblers① Kogarashi Monjirou


木枯し紋次郎 Kogarashi   Monjirou
                                      (cold wintry wind )

The story of wandering gamblers in Japan

木枯し紋次郎―同じく人殺し
木枯し紋次郎―

もう三十数年前だったと思いますが、市川監督の独特の映像スタイルと
主演の中村敦夫が長楊枝をくわえ「あっしには関わりのねぇ事で」の
流行語も生んだまさに一世を風靡した人気時代劇でした。
私も毎週土曜日の夜はかじりつくように観ておりました。

その中でも特に印象に残っているエピソードが、十朱幸代がゲスト出演した
「木枯しの音に消えた」で、紋次郎がなぜ長楊枝をくわえるようになったかが
語られる重要なエピソードで、ファンの間でも屈指の名編と語り継がれる作品です。
最後の名セリフも泣かせます。(´Д⊂)

                 ☆★☆

物語(ネタバレあり)
若い頃、紋次郎(中村敦夫)は毎日のようにケンカに明け暮れていました。
ある日、瀕死の重傷を負った紋次郎は、お志乃という少女とその父親に助けられます。
紋次郎は、そこで傷の手当てを受け、体が回復するまでしばし滞在をする事になります。

父親は浪人の身で、土地の者に読み書きを教えたり、竹の細工物を
こしらえたりして生計を立てていました。
その娘のお志乃は、いつも側で寄り添うようにして父親が作ってくれた
竹の長楊枝を口にくわえ笛のような音を響かせ遊んでいました。
紋次郎も同じように吹いてみますが、頬の刀傷のせいか木枯しの
ような音しか鳴りません。――――

紋次郎は、それ以来長楊枝をくわえるようになり、誰に尋ねられても
「こいつはただのクセってもんで。。」と濁します。

小さい頃から、家族も故郷も捨て、無宿渡世のすさんだ生活を送る紋次郎にとって
その親子とのふれあいは、唯一と言っていい楽しく温かい記憶だったのでしょう。
長楊枝はその思い出の品なのでした。

それから、十年余りして、紋次郎は思い出の糸に手繰り寄せられるように
あの親子の家を尋ねますが、父親はすでに亡くなり、お志乃は女郎として
売られてしまっていました。

お志乃の身を案じた紋次郎は売られた先の宿場町を尋ねますが、
お志乃の女郎仲間のお豊(十朱幸代)からお志乃が死んだ事を知らされます。

愕然とする紋次郎に、お豊はお志乃の形見の品を見せます。
それは、なんと竹の長楊枝でした。―――
父を亡くし幼くして身売りされ、何一つ楽しい事の無かったお志乃にとっても、
紋次郎との笛の吹きっこが唯一の楽しい思い出だったのでした。

お豊は、紋次郎にある事を懇願します。

お志乃と同じ名前の女郎が結婚しようとしている相手を、この宿場町を牛耳る
すご腕の用心棒(荒木一郎、戸浦六宏)が殺そうとしていると言うのです。
お豊は、“死んだお志乃の弔いだと思って、一人の女郎がようやく掴んだ
幸せを奪おうとする用心棒を倒して欲しい”と―――

しかし、時すでに遅く結婚相手の男は殺されてしまいます。
怒りに震える紋次郎は、二人のお志乃のために闘い、一瞬のスキをついて
二人の用心棒を倒します。

立ち去ろうとする紋次郎の横で、お豊は長楊枝を取り出し、悲しげな
音色の笛を吹きます。そう、彼女こそ死んだはずのお志乃だったのでした。

“お志乃さん...”と声をかける紋次郎に、

お志乃は目に涙を浮かべて悲しげにつぶやきます。
“お志乃は死んだよ...紋次郎さん、あんたの知ってる
         お志乃のきれいな思い出だけを持ってとくれよ...”


紋次郎は振り返ることなく、しぼり出す様に、
“おめぇさんのことは思い出しもしねぇが、忘れもしやせん...”
そう言い残して静かに立ち去りました。―――

                 ☆★☆




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This TV Period Drama was popular in the 1970s.