SISTERS(1973) Brian De Palma

ブライアン・デ・パルマというと、どうしても“ヒッチコックの後継者”という
イメージが付いてまわりますが、その記念すべき出発点とも言える作品が
このサスペンススリラー「悪魔のシスター」でした。

A novel image technique of De Palma

and Performance of Margot Kidder's insanity are terrible!


悪魔のシスター監督: ブライアン・デ・パルマ Brian De Palma
製作: エドワード・R・プレスマン
脚本: ブライアン・デ・パルマ
     ルイザ・ローズ
撮影: グレゴリー・サンダー
音楽: バーナード・ハーマン

出演: マーゴット・キダー Margot Kidder
    ジェニファー・ソルト
    チャールズ・ダーニング
    バーナード・ヒューズ
    ウィリアム・フィンレイ
    メアリー・ダヴェンポート

アメリカ映画 1974年8月公開
  (上映時間1時間32分)

(STORY)
テレビのクイズ番組に出演したきっかけで、美人モデルのダニエル
(M・キダー)と親しくなった黒人青年フィリップ(R・ウィルソン)と
食事に出かけたところ、突然、彼女の元夫と名乗る中年の紳士エミール
(B・フィンレー)が現われて、ダニエルに早く帰宅するよう忠告します。
彼女によると離婚後もしつこくつきまとっているらしいのです。
彼女の豪華なマンションに来たフィリップは、一夜を共にします。その翌日、
目を覚ましたフィリップは、隣の部屋で彼女が誰かと話をしているのに気付きます。
聞くと彼女の双子の妹ドミニクが泊まりに来ているのだと、――

フィリップは、今日が誕生日という姉妹のために、バースデーケーキを
買って戻りますが。部屋に戻ると突然、妹のドミニクと思われる女が
恐ろしい形相をして彼をナイフでメッタ刺しにします。女はさらに、
血みどろになって這いつくばって逃げる彼にトドメをさします――。

この殺害現場を、向いのマンションから目撃していた女事件記者グレース
(J・ソールト)は警察に通報します。
しかし、警察が到着する前に駆けつけたエミールが、発作を起して倒れていた
ダニエルを介抱し、フィリップの死体を処理して証拠を隠滅してしまったため、
事件はグレースの見間違いと処理されてしまいます。

しかし、納得のいかないグレースは、私立探偵(チャールズ・ダーニング)と共に
真相究明に乗り出しますが、事件のウラにはダニエルとドミニク姉妹の恐るべき
秘密が隠されていました。―――

                ☆★☆

本作の場合は、あらすじからピンと来る方も多いと思いますが、ヒッチコックの
「サイコ」と「裏窓」のオマージュとなっており、オチも見事に想像通りです。

しかし、この作品の核となる双子を演じるM・キダーの狂気の演技は迫力で、
殺人シーンは本家以上にゾッとさせる恐ろしさと陰惨さに満ちています。

流れるようなカメラワークや奇抜なカメラアングルにスプリット(分割)画面など、
のちに“デ・パルマタッチ”とも言われた華麗な映像テクニックの片鱗は、
既にこの映画でも垣間見せてくれます。

ただ、映像テクニックや性的嗜好に凝るあまり、物語が破綻したり、尻つぼみに
なったりという、この監督サンの悪いクセも既にこの映画で垣間見せてくれます。笑

                ☆★☆

“ヒッチコック信奉者”の彼が作るサスペンス作品には、ほとんどの場合、
ヒッチコック作品へのオマージュがこめられている為、はじめからネタや
オチが透けてしまっている事が多いというのが致命的な欠点ではありますが、
ただ、デ・パルマ監督本人にとっては、物語性・サスペンス性よりも
“自分なりのヒッチコック作品を撮りたい”という方が重要なのかもしれません。笑

デ・パルマ作品の中には、他にもオーソン・ウェルズ、エイゼンシュテイン、
アントニオーニ、ベルイマン、ゴダールなどなどの世界中の鬼才や名匠の影響を
モロ受けたと思われる描写もありますので、ホント映画青年だったんでしょうね。

そして、そこが映画ファンの心をくすぐるのか、いまだ彼の新作を心待ちに
しているコアなファンが意外に多いのも事実です。 私もその一人ではありますが。。。笑


悪魔のシスター