製作: アーサー・P・ジェイコブス
モート・エイブラハムズ
原作: ピエール・ブールPierre Boulle
脚本: ロッド・サーリング Rod Serling
マイケル・ウィルソン
特殊効果: L・B・アボット
特殊メイク: ジョン・チェンバース
音楽: ジェリー・ゴールドスミス Jerry Goldsmith
出演: チャールトン・ヘストンCharlton Heston
キム・ハンター Kim Hunter
ロディ・マクドウォールRoddy McDowall
リンダ・ハリソンLinda Harrison
モーリス・エヴァンス Maurice Evans
ジェームズ・ホイットモア
アメリカ映画 1968年4月13日 日本公開
(上映時間 1時間53分)
(STORY)
ケープカナベラルのケネディ宇宙センターより、打ち上げられた有人宇宙船は
1年6ヶ月、地球時間にして2000年の歳月をへてある惑星に不時着します。
乗組員は、戦争などの愚行を繰り返す人間と地球に失望しこの旅へ志願した
テイラー(C・ヘストン)をはじめとした、ドッジ、ランドンの三人。
もう一人の女性宇宙飛行士は航海中の事故で死亡していました。
オリオン星座の軌道上をまわっているとみられるこの惑星は、大気成分を
含めて驚くほど地球に似ていました。
しかし、まわりは海と砂漠、宇宙船も海に沈み、二度と地球へは戻れない運命。
水も食料も限られた中、三人は生きる場所を見つけるための旅に出ます。
出発前に、律儀にも小さな星条旗を立てる仲間に、
“二度とも戻れない故郷の旗を掲げる事になんの意味があるのか?”
と言わんばかりにテイラーは哄笑します。――
砂漠地帯をさまよった末、水も緑もある楽園を見つけた三人は狂喜します。
しかし、驚くべき事にここは猿たちが人間を支配する世界だったのでした。
人間狩りを行う猿たちはドッジは撃ち殺し、テイラーも捕まえます。
テイラーが連れて行かれた猿の世界は、まさに前近代的な集落体でオラン
ウータン、ゴリラ、チンパンジーと種族によって住み分けが行われている
階級社会となっておりました。
動物学者のジーラ博士(K・ハンター)は知性を持ったテイラーに興味を
抱きますが、最高首脳の一人ザイアス博士(M・エヴァンス)は彼を異様に
毛嫌いし、すでに捕まっていた同僚のランドンに施したのと同様の
ロボトミー手術を行い廃人にしようとします。
ジーラは婚約者の考古学博士コーネリアス(R・マクドウォール)の協力を
得て、テイラーを人間の女ノヴァ(L・ハリソン)とともに逃がしてやります。
そして、テイラー、ジーラ、コーネリアスら一行は、砂漠地帯の先にある
“禁断地帯”へと赴きます。ここは、猿の祖先が人間である事を証明する
遺跡で、この惑星の謎の鍵を秘めた場所でした。
あとから追っていたザイアス共々、遺跡内に入ったテイラーはそこで
心臓の人工弁やしゃべる人形を発見します。これは、猿よりはるか昔に
高度に進化した人間が、この惑星に存在していた事を証明するものでした。
ザイアスは、コーネリアスより前にそれらの事実を知っており、
高度に進化した人間たちが、いかに愚かでなぜ滅亡したかも知っていたのでした。。
最後にザイアスはテイラーに警告します
“なぜ人類が滅び、猿が進化したのか、それを探ってはならない。”
テイラーは猿達に別れを告げ、ノヴァを連れさらに未開の地へと旅立ちます。
延々と続く海岸線を進む二人。その先に見覚えのある大きな像が。。
仰ぎ見るテイラーは、それが自由の女神であることに愕然とします。
なんということをしてくれたんだ!俺は帰ってたんだ!
人間は愚かな戦争の末、ついに核兵器に手を出し地球を滅亡させていたのでした。
人間に絶望して地球を捨てたテイラーにとって、あまりに皮肉で残酷な結末でした。
☆★☆
悪の権化のようなザイアスが、実は全てを見越した案外一番まともな存在
だった事など、最後のオチで話の全てが覆ってしまうなんとも皮肉めいた
展開は思わずウマイ!とうなってしまいます。(^∀^)
ただ、個人的にはC・へストンが捕虜になってからの展開は痛々しくて、
正直気分のいいものではなく、ついその部分は、とばして観てしまう事も。。笑
原作のP・ブールが、大戦中に日本軍の捕虜になって虐げられた体験から、
猿=日本軍のイメージで描いた物語を、共産主義者として赤狩りで追放された
経験のある脚本家のM・ウィルソンが脚色しているだけにその生々しさは
いたしかたないところですが。。。
しかし、伝説のTVシリーズ「トワイライト・ゾーン」の生みの親である
ロッド・サーリングが共同で脚本を担当している影響もあるのか、
宇宙飛行士たちが砂漠地帯をさまよう序盤のシーンや後半の禁断地帯の
シーンにみられるSFマインドは、見事なロケーションとスケール感のある
カメラワークそしてJ・ゴールドスミスの前衛音楽的なスコアもあいまって、
何度観ても素晴らしいと感じてしまいます。
ノヴァNova役の
リンダ・ハリソンLinda Harrison
猿の惑星 [Blu-ray]